今回は「変数」を使えるようにしていきましょう。
「変数」は、プログラミングを学んでいく上で、なくてはならない重要な要素になります。
もしも変数を使わないでプログラミングを行った場合、大変長いコードを書くことになってしまい、非常に読みにくく不便です。
最初は、難しく感じるかもしれませんが、1度イメージが出来てしまえば、決して難しくありませんから、しっかりマスターするようにしてください。
変数とは
変数とは
変数とは、データを入れておく箱のようなものになります。
その箱(変数)に、名前(変数名)を付けることで、変数に値を入れたり、変数から値を取り出すことができることと、その変数を必要なときに取り出すこともできます。
この便利な変数があるおかげで、数字や文字などのデータを簡潔に管理しておくことができるのです。
変数にデータを入れることを「代入」といい、取り出すことは「参照」といいます。
また、初めて変数にデータを入れることを「変数の初期化」といいます。
変数の定義
変数を使うためには、まず変数を定義します。
変数を作ることを「変数を宣言」といい、
また、変数には名前を付けることができて、それを「変数名」といいます。
変数定義の書き方
「変数名 = 値」と書くことで変数を定義します。
変数名は、クォーテーションやダブルクォーテーションで囲む必要はありません。
また、プログラミングの「=」は、数学的な等しいという意味とは別の考え方で、
「右辺を左辺に代入する」という意味になります。
変数の値を取り出す
変数の値を取り出す
変数の値の取り出すには、
print(変数) にすると、変数に代入した値を出力できます。
print(‘変数’)
上記のようにクォーテーションを付けてしまうと、変数ではなく文字列として認識されてしまうため、間違えないように注意してください。
記述例
# (例)数値を代入します。
# 変数 「number」 に値を代入します。
number = 5
# 変数 「number」 の値を出力します。
print(number)
# 出力結果は、「5」と出力されます。
# (例)名前を代入します。
# 変数 「name」 に値を代入します。
name = 'さちこさん'
# 変数 「name」 の値を出力します。
print(name)
# 出力結果は、「さちこさん」と出力されます。
# (例)誤ってクォーテーションを出力させる、print('name')として付けてしまうと
# 変数 「name」 に値を代入します。
name = 'さちこさん'
# 変数 「name」 の値を出力します。
print('name')
# 出力結果は、「name」と出力されてしまいます。
変数名のルール
変数名のルール
Pythonでは、変数名は自由に決められるのですが、決め方にはルールがあって基本的には英単語、アルファベットを使用します。
その他、数字、アンダースコア( _ )も使うことができます。下記を参考にして、変数名を決めるようにしてください。
- 2語以上を組み合わせた変数名は、アンダーバー(_)を使う。 (良い例)「user_name」
- 数字から始めることはできない。 (悪い例)「1name」
- アンダーバー以外の記号を使うことはできない。 (悪い例)「num$」
- ローマ字は使わない。 (悪い例)「namae」
- 日本語は使わない。 (悪い例)「なまえ」
となります。 上記のルールを守らないと、エラーになりますので注意してください。
エラーとなった場合、下記のように表示されます。
# 変数に誤ってドルマークを付けてしまった場合
num$ = 5
SyntaxError: invalid syntax
# エラーになります。
その他に注意していただきたいことは、
・大文字と小文字は別の変数として区別されます。
(例)
NUM = 5
Num = 3
# 数値を代入します。
NUM = 5
# 変数 「NUM」 の値を出力します。
print(NUM)
# 出力結果は、「5」と出力されます。
# 数値を代入します。
Num = 3
# 変数 「Num」 の値を出力します。
print(Num)
# 出力結果は、「3」と出力されます。
・予約語は変数名にすることはできません。
予約語とは、「class」、「for 」、「return」、「while」等の、Pythonプログラミング言語で役割が決まっている単語のことをいいます。
変数を使う理由
変数を使う理由
プログラミングで変数を使う理由は、コードを書いていくために沢山の値を扱う必要があります。
その値を1つたりとも間違いがないように書いていくことが必要となりますが、実際には至難の業となります。
また、値を変更しなければならない場合は、非常に大変な作業になってしまいます。
変数が使えるおかげで、どれだけプログラミングが楽になっているのか、これから勉強を進めて行けば行くほど感じることでしょう。
この後は、変数のメリットも解説していきます。
変数のメリット
変数のメリット
変数のメリットは3つあります。
- 同じ値を繰り返し使える
- 変更に対応出来る
- 何の要素かが分かりやすい
という3つになります。
それでは、1つずつ解説していきます。
同じ値を繰り返し使える
例をあげてみます。
(例)変数を使わない場合
(例)数値を足していく (変数を使わない場合)
print (10 + 1)
print (10 + 2)
print (10 + 3)
全ての数値を書いていく必要があります。
(例)変数を使う場合
(例)数値を足していく (変数を使う場合)
number = 10
print (number + 1)
print (number + 2)
print (number + 3)
足していく数値を書いていくだけでよい。
変更に対応出来る
例をあげてみます。
(例)変数を使わない場合
(例)元データ 変数を使わない場合
print (1 + 1)
print (1 + 2)
print (1 + 3)
(例)元データを変更する場合
print (200 + 1)
print (200 + 2)
print (200 + 3)
元データ全ての数値を変更する必要があります。
(例)変数を使っていた場合
(例)変数を使っていた場合
number = 1
print (number + 1)
print (number + 2)
print (number + 3)
(例)変数を使い、後で変更する場合
number = 200
print (number + 1)
print (number + 2)
print (number + 3)
変数に代入した数値を変更するだけでよい。
今回のデータは3件程度のものですが、これが1000件以上のデータがあるとしたら、変更が非常に大変な作業となります。
変数の必要性が、ご理解いただけたのではないかと思います。
変数を使うと何の要素かが分かりやすい
変数名はルールに沿っていれば自由に決めることができますから、何の要素かが分かりやすい変数名を付けることで、変数を使うこと自体がメリットになります。
(例)
「name」 → 「名前」
「age」 → 「年齢」
「number」 → 「番号」
このような変数名を付けることで、他人がコードを見ても、変数名から想像してプログラムを理解することが可能となります。
変数の値を更新するには
変数の値を更新するには
変数の値を更新する書き方は、非常にシンプルで簡単です。
コードは上から順番に実行されていきます。
ですから変数の値は、再度、新たに同じ変数に代入させることで上書きされ、新たに計算等をさせることで更新されたことになります。
「変数名 = 新しい値」
上記のようにすることで、変数の値は上書きされます。
記述例 (変数の更新)
# 変数 「A」 に値を代入します。
A = 5
# 変数 「A」 の値を出力します。
print(A)
# 出力結果は、「5」と出力されます。
# 変数 「A」 の値を新たに代入し、更新します。
A = 7
# 変数 「A」 の値を出力します。
print(A)
# 出力結果は、「7」と出力されます。
記述例 (変数を計算して更新する)
# 変数 「B」 に値を代入します。
B = 9
# 変数 「B」 の値を出力します。
print(B)
# 出力結果は、「9」と出力されます。
# 変数 「B」 を使って計算し、更新します。
B = B + 1
# 変数 「B」 の値を出力します。
print(B)
# 出力結果は、「10」と出力されます。
変数の値を更新する計算の省略形
変数の値を更新する計算の省略形
数値の入った変数の値を更新する場合は、省略した形でも書くことができます。
省略形の書き方は、これから使っていくことになりますから、使えるようにしておきましょう。
変数の値の更新(基本形)
A = A + 1 足し算
A = A – 1 引き算
A = A * 1 掛け算
A = A ** 1 べき乗
A = A / 1 割り算
A = A // 1 割り算(整数のみ)
A = A % 1 余りの計算
変数の値の更新(省略形)
A += 1 足し算
A -= 1 引き算
A *= 1 掛け算
A **= 1 べき乗
A /= 1 割り算
A //= 1 割り算(整数のみ)
A %= 1 余りの計算
文字列の連結
文字列の連結
これまで数値の計算で使用してきた「+」の記号は、計算以外に文字列の連結にも使用することができます。
また、文字列と変数の連結や、変数同士の連結をすることもできます。
記述例(文字列の連結)
# 文字列の連結をします。
print('おはようございます、' + 'さちこさん。')
# 出力結果は、「おはようございます、さちこさん。」と出力されます。
記述例(文字列と変数の連結)
# 変数 「name」 に値を代入します。
name = 'よしこさん。'
# 変数 「name」 の値を出力します。
print('おはようございます、' + name)
# 出力結果は、「おはようございます、よしこさん。」と出力されます。
上記のように文字列と変数を連結させると、例えば、非常に長い文章であったとしても、変数の名前を更新するだけで、複数の方にメッセージを送るようなことも可能となります。
今回は、変数を使いこなそう。というテーマで解説しましたが、これから、ぜひ変数を使いこなしてプログラミング上達のために活用してください。